モータリゼーションの波に乗って登場した初代日産シルビア(クリスプルックシルビア)

コラム

1960年(昭和35年)代初め頃の日本は、

モータリゼーションにより

日本の自動車メーカーが
欧米の技術を取り込みながら、

技術を試行錯誤で築き、
学び(マネ)ながらデザインを

培っていく時代でした。

戦後10年の高度成長期に入った時代。

非常に大まかにいうと、そんな時代です。

初代シルビア(CSP311型)

登場する前の1960年には、

イタリアのデザイナーである
ジョヴァンニ・ミケロッティのデザインによる

スカイラインスポーツが
トリノショーで披露され、

クーペという趣味性の高いモデルが
続々と登場する下地が

できあがっていった時代です。

そして、

1964年

ダットサン クーペ1500

として
東京モーターショーでお披露目され、
翌年初代シルビアとしてデビューしました。

1964年は
東京オリンピックがあった年です。

東海道新幹線開業、

ホテルニューオータニ、

東京プリンスホテル開業。

こんな時代だったようです。

ベースとなったのは、

当時大人気だった
ダットサン フェアレディ1500(S310型)で、

フェアレディ1500は

初代ブルーバード(310型)がベース。

ボディとシャーシを分けた「はしご形」
フレームを採用していたため、

上屋を設計すればクーペに
仕立てやすいという事情もあり、

初代シルビアを比較的短時間で
世の中に送り出せたようです。。

1965年4月に発売された日産シルビアは、

ドイツ人デザイナー
アルブレヒト・フォン・ゲルツ
(BMW507や503のデザイナーとして有名)

の指導を受けながら
日産デザイン室所属デザイナー

木村一男さんがデザイン。

ゲルツはこの頃
日産のコンサルタントとして雇われていたようです。

デザインは、「クリスプカット」といわれ、
ダイヤモンドカットのような
エッジの利いたフォルムです。

宝石のカットを思わせる
ボディは継ぎ目を極力減らし、

なおかつシャープで直線的な
美しいデザインを持っています。

ただ、

このデザインは通常のプレスでは
加工不可能だったので

職人の手叩きで造られたそうです。

ポディをハンドメイドってすごいですよね。

極端ではないものの、

ノーズは比較的長く、
ショートデッキという、

当時のクーペの法則にしたがった形です。

時速165キロ、

ゼロヨン17.9秒。

開発の狙いは

アルファロメオ、ポルシェのような
欧州製高速ツーリングカーと互角に走れて、

かつロングツーリングに
フォーマルな用途に使える欲張った車としてでした。

しかし、、、、

お値段が、当時で120万円。

サラリーマンの月給が、

3万円弱の時代ですから、

いかに高級車であったか。

更に吸収合併先のプリンスからやってきた

スカイライン2000GTの影に埋没してしまい、

1968年6月に554台と、

非常に少ない台数で製造を終えてしまいました。

 

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